目千両
「チャーリー」を撮ったリチャード・アッテンボローは「瞳に情熱と感情を併せ持つ俳優」とロバート・ダウニー・Jrを評している。
アイアンマンのメイキングの中で、特殊効果のスタッフが言っている。「性格俳優ロバート・ダウニー・Jrの魅力は、あの顔と目だ」と。
そう、あの目。
目千両とはまさにロバート・ダウニー・Jrの目のことだ。
アイアンマンのマスクの中でキラキラと動く瞳。目の動きだけで、スーツを完成させた高揚感を、空を飛ぶ爽快感を表現していた。
迫り来る死を前に、絶望と哀しみと切なさを湛えていた「ワン・ナイト・スタンド」のチャーリーの瞳。ラブコメディでは甘やかな瞳で愛を訴え、サウペンスでは犯罪者の狂気と冷酷を目に宿して見せる。
ほんとうになんという目ヂカラだろう!
夢にまで見るのは「ゲーム・オブ・シャドゥ」のホームズの瞳だ。
宿敵モリアーティ教授に「命も惜しくはない」と言い切るときの瞳の強さ。そしてラスト。モリアーティ教授もろ共、滝に身を投げようとするその刹那、ワトソンを見つめる瞳の決意と愛惜。あの瞳が伝えていたのは愛以外の何ものでもなかった。あんな瞳で見つめられ、そしてそれが最期だったら・・・残された者はどうやって生きてゆけばいいだろう。
ロバート・ダウニー・Jrの瞳。叶うなら、両の手で頬を包んで、あの瞳を飽くまで覗き込んでいたいと思う。